日本国憲法 ふりがな付き

前文(前文)

 日本国民(にほんこくみん)は、正当(せいとう)に選挙(せんきょ)された国会(こつかい)における代表者(だいひょうしゃ)を通(つう)じて行動(こうどう)し、われらとわれらの子孫(しそん)のために、諸(しょ)国民(こくみん)との協和(きょうわ)による成果(せいか)と、わが国(くに)全土(ぜんど)にわたつて自由(じゆう)のもたらす恵沢(けいたく)を確保(かくほ)し、政府(せいふ)の行為(こうい)によつて再(ふたた)び戦争(せんそう)の惨禍(さんか)が起(おこ)ることのないや(よ)うにすることを決意(けつい)し、ここに主権(しゅけん)が国民(こくみん)に存(そん)することを宣言(せんげん)し、この憲法(けんぽう)を確定(かくてい)する。そもそも国政(こくせい)は、国民(こくみん)の厳粛(げんしゅく)な信託(しんたく)によるものであつて、その権威(けんい)は国民(こくみん)に由来(ゆらい)し、その権力(けんりょく)は国民(こくみん)の代表者(だいひょうしゃ)がこれを行使(こうし)し、その福利(ふくり)は国民(こくみん)がこれを享受(きょうじゅ)する。これは人類(じんるい)普遍(ふへん)の原理(げんり)であり、この憲法(けんぽう)は、かかる原理(げんり)に基(もとづ)くものである。われらは、これに反(はん)する一切(いっさい)の憲法(けんぽう)、法令(ほうれい)及(およ)び詔勅(しょうちょく)を排除(はいじょ)する。
 
日本国民(にほんこくみん)は、恒久(こうきゅう)の平和(へいわ)を念願(ねんがん)し、人間(にんげん)相互(そうご)の関係(かんけい)を支配(しはい)する崇高(すうこう)な理想(りそう)を深(ふか)く自覚(じかく)するのであつて、平和(へいわ)を愛(あい)する諸国民(しょこくみん)の公正(こうせい)と信義(しんぎ)に信頼(しんらい)して、われらの安全(あんぜん)と生存(せいぞん)を保持(ほじ)しようと決意(けつい)した。われらは、平和(へいわ)を維持(いじ)し、専制(せんせい)と隷従(れいじゅう)、圧迫(あっぱく)と偏狭(へんきょう)を地上(ちじょう)から永遠(えいえん)に除去(じょきょ)しようと努(つと)めてゐ(い)る国際社会(こくさいしゃかい)において、名誉(めいよ)ある地位(ちい)を占(し)めたいと思(おも)ふ(う)。われらは、全世界(ぜんせかい)の国民(こくみん)が、ひとしく恐怖(きょうふ)と欠乏(けつぼう)から免(まぬ)かれ、平和(へいわ)のうちに生存(せいぞん)する権利(けんり)を有(ゆう)することを確認(かくにん)する。
 われらは、いづれの
国家(こつか)も、自国(じこく)のことのみに専念(せんねん)して他国(たこく)を無視(むし)してはならないのであつて、政治(せいじ)道徳(どうとく)の法則(ほうそく)は、普遍的(ふへんてき)なものであり、この法則(ほうそく)に従(したが)ふ(う)ことは、自国(じこく)の主権(しゅけん)を維持(いじ)し、他国(たこく)と対等関係(たいとうかんけい)に立た(と)うとする各国(かつこく)の責務(せきむ)であると信(しん)ずる。
 
日本国民(にほんこくみん)は、国家(こつか)の名誉(めいよ)にかけ、全力(ぜんりょく)をあげてこの崇高(すうこう)な理想(りそう)と目的(もくてき)を達成(たっせい)することを誓(ちか)ふ(う)。


  第(だい)一章(しょう) 天皇(てんのう)

第一条(じょう) 【天皇(てんのう)の地位(ちい)、国民主権(こくみんしゅけん)】 天皇(てんのう)は、日本国(にほんこく)の象徴(しょうちょう)であり日本国民(にほんこくみん)統合(とうごう)の象徴(しょうちょう)であつて、この地位(ちい)は、主権(しゅけん)の存(そん)する日本国民(にほんこくみん)の総意(そうい)に基(もとづ)く。

第二条 【皇位(こうい)の世襲(せしゅう)と継承(けいしょう)】 皇位(こうい)は、世襲(せしゅう)のものであつて、国会(こつかい)の議決(ぎけつ)した皇室典範(こうしつてんぱん) の定(さだ)めるところにより、これを継承(けいしょう)する。

第三条 【天皇(てんのう)の国事行為(こくじこうい)と内閣(ないかく)の助言(じょげん)・承認(しょうにん)および責任(せきにん)】 天皇(てんのう)の国事(こくじ)に関(かん)するすべての行為(こうい)には、内閣(ないかく)の助言(じょげん)と承認(しょうにん)を必要(ひつよう)とし、内閣(ないかく)が、その責任(せきにん)を負ふ(おう)。

第四条 【天皇(てんのう)の権能(けんのう)、国事(こくじ)行為(こうい)の委任(いにん)】 天皇(てんのう)は、この憲法(けんぽう)の定(さだ)める国事(こくじ)に関(かん)する行為(こうい)のみを行(おこな)ひ(い)、国政(こくせい)に関(かん)する権能(けんのう)を有(ゆう)しない。
②  
天皇(てんのう)は、法律(ほうりつ)の定(さだ)めるところにより、その国事(こくじ)に関(かん)する行為(こうい)を委任(いにん)することができる。

第五条 【摂政(せつしょう)】 皇室典範(こうしつてんぱん) の定(さだ)めるところにより摂政(せっしょう)を置(お)くときは、摂政(せっしょう)は、天皇(てんのう)の名(な)でその国事(こくじ)に関(かん)する行為(こうい)を行(おこな)ふ(う)。この場合(ばあい)には、前条(ぜんじょう)第(だい)一項の規定(きてい)を準用(じゅんよう)する。

第六条 【天皇(てんのう)の任命権(にんめいけん)】 天皇(てんのう)は、国会(こつかい)の指名(しめい)に基(もとづ)いて、内閣総理大臣(ないかくそうりだいじん)を任命(にんめい)する。
②  
天皇(てんのう)は、内閣(ないかく)の指名(しめい)に基(もとづ)いて、最高裁判所(さいこうさいばんしょ)の長(ちょう)たる裁判官(さいばんかん)を任命(にんめい)する。

第七条 【天皇(てんのう)の行(おこな)う国事行為(こくじこうい)の範囲(はんい)】 天皇(てんのう)は、内閣(ないかく)の助言(じょげん)と承認(しょうにん)により、国民(こくみん)のために、左(さ)の国事(こくじ)に関(かん)する行為(こうい)を行(おこな)ふ(う)。
一  
憲法改正(けんぽうかいせい)、法律(ほうりつ)、政令(せいれい)及(およ)び条約(じょうやく)を公布(こうふ)すること。
二  
国会(こつかい)を召集(しょうしゅう)すること。
三  
衆議院(しゅうぎいん)を解散(かいさん)すること。
四  
国会議員(こつかいぎいん)の総選挙(そうせんきょ)の施行(しこう)を公示(こうじ)すること。
五  
国務大臣(こくむだいじん)及(およ)び法律(ほうりつ)の定(さだ)めるその他(た)の官吏(かんり)の任免(にんめん)並(なら)びに全権委任状(ぜんけんいにんじょう)及(およ)び大使(たいし)及(およ)び公使(こうし)の信任状(しんにんじょう)を認証(にんしょう)すること。
六  
大赦(たいしゃ)、特赦(とくしゃ)、減刑(げんけい)、刑(けい)の執行(しっこう)の免除(めんじょ)及(およ)び復権(ふつけん)を認証(にんしょう)すること。
七  
栄典(えいてん)を授与(じゅよ)すること。
八  
批准書(ひじゅんしょ)及(およ)び法律(ほうりつ)の定(さだ)めるその他(た)の外交文書(がいこうぶんしょ)を認証(にんしょう)すること。
九  
外国(がいこく)の大使(たいし)及(およ)び公使(こうし)を接受(せつじゅ)すること。
十  
儀式(ぎしき)を行(おこな)ふ(う)こと。

第八条 【皇室(こうしつ)の財産授受(ざいさんじゅじゅ)】 皇室(こうしつ)に財産(ざいさん)を譲(ゆず)り渡(わた)し、又(また)は皇室(こうしつ)が、財産(ざいさん)を譲(ゆず)り受(う)け、若(も)しくは賜与(しよ)することは、国会(こつかい)の議決(ぎけつ)に基(もとづ)かなければならない。


   第二章 戦争(せんそう)の放棄(ほうき)

第九条 【戦争(せんそう)の放棄(ほうき)、戦力(せんりょく)の不保持(ふほじ)、交戦権(こうせんけん)の否認(ひにん)】 
日本国民(にほんこくみん)は、正義(せいぎ)と秩序(ちつじょ)を基調(きちょう)とする国際平和(こくさいへいわ)を誠実(せいじつ)に希求(ききゅう)し、国権(こつけん)の発動(はつどう)たる戦争(せんそう)と、武力(ぶりょく)による威嚇(いかく)又(また)は武力(ぶりょく)の行使(こうし)は、国際紛争(こくさいふんそう)を解決(かいけつ)する手段(しゅだん)としては、永久(えいきゅう)にこれを放棄(ほうき)する。
②  
前項(ぜんこう)の目的(もくてき)を達(たつ)するため、陸海空軍(りくかいくうぐん)その他(た)の戦力(せんりょく)は、これを保持(ほじ)しない。国(くに)の交戦権(こうせんけん)は、これを認(みと)めない。


   第三章 国民(こくみん)の権利(けんり)及(およ)び義務(ぎむ)

第十条 【日本国民(にほんこくみん)の要件(ようけん)】 日本国民(にほんこくみん)たる要件(ようけん)は、法律(ほうりつ)でこれを定(さだ)める。

第十一条 【国民(こくみん)の基本的人権(きほんてきじんけん)の享有(きょうゆう)と基本的人権(きほんてきじんけん)の性質(せいしつ)】 国民(こくみん)は、すべての基本的人権(きほんてきじんけん)の享有(きょうゆう)を妨(さまた)げられない。この憲法(けんぽう)が国民(こくみん)に保障(ほしょう)する基本的人権(きほんてきじんけん)は、侵(おか)すことのできない 永久(えいきゅう)の権利(けんり)として、現在(げんざい)及(およ)び将来(しょうらい)の国民(こくみん)に与(あた)へ(え)られる。

第十二条 【国民(こくみん)の自由(じゆう)および権利(けんり)の保持責任(ほじせきにん)、濫用禁止(らんようきんし)と利用責任(りようせきにん)】 この憲法(けんぽう)が国民(こくみん)に保障(ほしょう)する自由(じゆう)及(およ)び権利(けんり)は、国民(こくみん)の不断(ふだん)の努力(どりょく)によつて、これを保持(ほじ)しなければならない。又(また)、国民(こくみん)は、これを濫用(らんよう)してはならないのであつて、常(つね)に公共(こうきょう)の福祉(ふくし)のためにこれを利用(りよう)する責任(せきにん)を負(お)ふ(う)。

第十三条 【個人(こじん)の尊重(そんちょう)、生命(せいめい)・自由(じゆう)・幸福追求(こうふくついきゅう)の権利(けんり)】 すべて国民(こくみん)は、個人(こじん)として尊重(そんちょう)される。生命(せいめい)、自由(じゆう)及(およ)び幸福追求(こうふくついきゅう)に対(たい)する国民(こくみん)の権利(けんり)については、公共(こうきょう)の福祉(ふくし)に反(はん)しない限(かぎ)り、立法(りつぽう)その他(た)の国政(こくせい)の上(うえ)で、最大(さいだい)の尊重(そんちょう)を必要(ひつよう)とする。

第十四条 【国民(こくみん)の法(ほう)の下(もと)の平等(びょうどう)、貴族制度(きぞくせいど)の否認(ひにん)、栄典(えいてん)の授与(じゅよ)】 すべて国民(こくみん)は、法(ほう)の下(もと)に平等(びょうどう)であつて、人種(じんしゅ)、信条(しんじょう)、性別(せいべつ)、社会的身分(しゃかいてきみぶん)又(また)は門地(もんち)により、政治的(せいじてき)、経済的(けいざいてき)又(また)は社会的関係(しゃかいてきかんけい)において、差別(さべつ)されない。
②  
華族(かぞく)その他(た)の貴族(きぞく)の制度(せいど)は、これを認(みと)めない。
③  
栄誉(えいよ)、勲章(くんしょう)その他(た)の栄典(えいてん)の授与(じゅよ)は、いかなる特権(とつけん)も伴(ともな)は(わ)ない。栄典(えいてん)の授与(じゅよ)は、現(げん)にこれを有(ゆう)し、又(また)は将来(しょうらい)これを受(う)ける者(もの)の一代(いちだい)に限(かぎ)り、その効力(こうりょく)を有(ゆう)する。

第十五条 【国民(こくみん)の公務員(こうむいん)選定(せんてい)・罷免権(ひめんけん)、公務員(こうむいん)の本質(ほんしつ)、公務員(こうむいん)の普通選挙(ふつうせんきょ)・投票(とうひょう)・秘密(ひみつ)投票の保障(ほしょう)】 公務員(こうむいん)を選定(せんてい)し、及(およ)びこれを罷免(ひめん)することは、国民(こくみん)固有(こゆう)の権利(けんり)である。
②  すべて
公務員(こうむいん)は、全体(ぜんたい)の奉仕者(ほうししゃ)であつて、一部(いちぶ)の奉仕者(ほうししゃ)ではない。
③  
公務員(こうむいん)の選挙(せんきょ)については、成年者(せいねんしゃ)による普通選挙(ふつうせんきょ)を保障(ほしょう)する。
④  すべて
選挙(せんきょ)における投票(とうひょう)の秘密(ひみつ)は、これを侵(おか)してはならない。選挙人(せんきょにん)は、その選択(せんたく)に関(かん)し公的(こうてき)にも私的(してき)にも責任(せきにん)を問(と)は(わ)れない。

第十六条 【請願権(せいがんけん)】 何人(なんびと)も、損害(そんがい)の救済(きゅうさい)、公務員(こうむいん)の罷免(ひめん)、法律(ほうりつ)、命令(めいれい)又は規則(きそく)の制定(せいてい)、廃止(はいし)又(また)は改正(かいせい)その他(た)の事項(じこう)に関(かん)し、平穏(へいおん)に請願(せいがん)する権利(けんり)を有(ゆう)し、何人(なんびと)も、かかる請願(せいがん)をしたためにいかなる差別待遇(さべつたいぐう)も受
(う)
けない。

第十七条 【国(くに)および公共団体(こうきょうだんたい)の賠償責任(ばいしょうせきにん)】 何人(なんびと)も、公務員(こうむいん)の不法行為(ふほうこうい)により、損害(そんがい)を受(う)けたときは、法律(ほうりつ)の定(さだ)めるところにより、国(くに)又(また)は公共団体(こうきょうだんたい)に、その賠償(ばいしょう)を求(もと)めることができる。

第十八条 【奴隷的拘束(どれいてきこうそく)および意(い)に反(はん)する苦役(くえき)の禁止(きんし)】 何人(なんびと)も、いかなる奴隷的拘束(どれいてきこうそく)も受(う)けない。又(また)、犯罪(はんざい)に因(よ)る処罰(しょばつ)の場合(ばあい)を除(のぞ)いては、その意(い)に反(はん)する苦役(くえき)に服(ふく)させられない。

第十九条 【思想(しそう)および良心(りょうしん)の自由(じゆう)】 思想(しそう)及(およ)び良心(りょうしん)の自由(じゆう)は、これを侵(おか)してはならない。

第二十条 【信教(しんきょう)の自由(じゆう)、国(くに)の宗教活動(しゅうきょうかつどう)の禁止(きんし)】 信教(しんきょう)の自由(じゆう)は、何人(なんびと)に対(たい)してもこれを保障(ほしょう)する。いかなる宗教団体(しゅうきょうだんたい)も、国(くに)から特権(とつけん)を受(う)け、又(また)は政治上(せいじじょう)の権力(けんりょく)を行使(こうし)してはならない。
②  
何人(なんびと)も、宗教上(しゅうきょうじょう)の行為(こうい)、祝典(しゅくてん)、儀式(ぎしき)又(また)は行事(ぎょうじ)に参加(さんか)することを強制(きょうせい)されない。
③  
国(くに)及(およ)びその機関(きかん)は、宗教教育(しゅうきょうきょういく)その他(た)いかなる宗教的活動(しゅうきょうてきかつどう)もしてはならない。

第二十一条 【集会(しゅうかい)、結社(けつしゃ)・表現(ひょうげん)の自由、検閲(けんえつ)の禁止(きんし)、通信(つうしん)の秘密(ひみつ)】 集会(しゅうかい)、結社(けっしゃ)及(およ)び言論(げんろん)、出版(しゅつぱん)その他一切(たいつさい)の表現(ひょうげん)の自由(じゆう)は、これを保障(ほしょう)する。
②  
検閲(けんえつ)は、これをしてはならない。通信(つうしん)の秘密(ひみつ)は、これを侵(おか)してはならない。

第二十二条 【居住(きょじゅう)・移転(いてん)・職業選択(しょくぎょうせんたく)の自由(じゆう)、外国移住(がいこくいじゅう)・国籍離脱(こくせきりだつ)の自由(じゆう)】 何人(なんびと)も、公共(こうきょう)の福祉(ふくし)に反(はん)しない限(かぎ)り、居住(きょじゅう)、移転(いてん)及(およ)び職業選択(しょくぎょうせんたく)の自由(じゆう)を有(ゆう)する。
②  
何人(なんびと)も、外国(がいこく)に移住(いじゅう)し、又(また)は国籍(こくせき)を離脱(りだつ)する自由(じゆう)を侵(おか)されない。

第二十三条 【学問(がくもん)の自由(じゆう)】 学問(がくもん)の自由(じゆう)は、これを保障(ほしょう)する。

第二十四条 【婚姻(こんいん)と家族生活(かぞくせいかつ)における個人(こじん)の尊厳(そんげん)および両性(りょうせい)の本質的平等(ほんしつてきびょうどう)】 婚姻(こんいん)は、両性(りょうせい)の合意(ごうい)のみに基(もとづ)いて成立し、夫婦(ふうふ)が同等(どうとう)の権利(けんり)を有(ゆう)することを基本(きほん)として、相互(そうご)の協力(きょうりょく)により、維持(いじ)されなければならない。
②  
配偶者(はいぐうしゃ)の選択(せんたく)、財産権(ざいさんけん)、相続(そうぞく)、住居(じゅうきょ)の選定(せんてい)、離婚(りこん)並(なら)びに婚姻(こんいん)及(およ)び家族(かぞく)に関(かん)するその他(た)の事項(じこう)に関(かん)しては、法律(ほうりつ)は、個人(こじん)の尊厳(そんげん)と両性(りょうせい)の本質的平等(ほんしつてきびょうどう)に立脚(りつきゃく)して、制定(せいてい)されなければならない。

第二十五条 【国民(こくみん)の生存権(せいぞんけん)、国(くに)の社会保障的義務(しゃかいほしょうてきぎむ)】 すべて国民(こくみん)は、健康(けんこう)で文化的(ぶんかてき)な最低限度(さいていげんど)の生活(せいかつ)を営(いとな)む権利(けんり)を有(ゆう)する。
②  
国(くに)は、すべての生活部面(せいかつぶめん)について、社会福祉(しゃかいふくし)、社会保障(しゃかいほしょう)及(およ)び公衆衛生(こうしゅうえいせい)の向上(こうじょう)及(およ)び増進(ぞうしん)に努(つと)めなければならない。

第二十六条 【教育(きょういく)を受(う)ける権利(けんり)、教育(きょういく)の義務(ぎむ)】 すべて国民(こくみん)は、法律(ほうりつ)の定(さだ)めるところにより、その能力(のうりょく)に応(おう)じて、ひとしく教育(きょういく)を受(う)ける権利(けんり)を有(ゆう)する。
②  すべて
国民(こくみん)は、法律(ほうりつ)の定(さだ)めるところにより、その保護(ほご)する子女(しじょ)に普通教育(ふつうきょういく)を受(う)けさせる義務(ぎむ)を負(お)ふ(う)。義務教育(ぎむきょういく)は、これを無償(むしょう)とする。

第二十七条 【勤労(きんろう)の権利(けんり)・義務(ぎむ)、勤労条件(きんろうじょうけん)の基準(きじゅん)、児童酷使(じどうこくし)の禁止(きんし)】 すべて国民(こくみん)は、勤労(きんろう)の権利(けんり)を有(ゆう)し、義務(ぎむ)を負(お)ふ(う)。
②  
賃金(ちんぎん)、就業時間(しゅうぎょうじかん)、休息(きゅうそく)その他(た)の勤労条件(きんろうじょうけん)に関(かん)する基準(きじゅん)は、法律(ほうりつ)でこれを定(さだ)める。
③  
児童(じどう)は、これを酷使(こくし)してはならない。

第二十八条 【勤労者(きんろうしゃ)の団結権(だんけつけん)・団体交渉権(だんたいこうしょうけん)その他(た)団体行動権(だんたいこうどうけん)】 勤労者(きんろうしゃ)の団結(だんけつ)する権利(けんり)及(およ)び団体交渉(だんたいこうしょう)その他(た)の団体行動(だんたいこうどう)をする権利(けんり)は、これを保障(ほしょう)する。

第二十九条 【財産権(ざいさんけん)の不可侵(ふかしん)、財産権(ざいさんけん)の内容(ないよう)、正当補償(せいとうほしょう)の原則(げんそく)】 財産権(ざいさんけん)は、これを侵(おか)してはならない。
②  
財産権(ざいさんけん)の内容(ないよう)は、公共(こうきょう)の福祉(ふくし)に適合(てきごう)するやうに、法律(ほうりつ)でこれを定(さだ)める。
③  
私有財産(しゆうざいさん)は、正当(せいとう)な補償(ほしょう)の下(もと)に、これを公共(こうきょう)のために用(もち)ひ(い)ることができる。

第三十条 【納税(のうぜい)の義務(ぎむ)】 国民(こくみん)は、法律(ほうりつ)の定(さだ)めるところにより、納税(のうぜい)の義務(ぎむ)を負(お)ふ(う)。

第三十一条 【法定(ほうてい)手続(てつづき)の保障(ほしょう)】 何人(なんびと)も、法律(ほうりつ)の定(さだ)める手続(てつづき)によらなければ、その生命(せいめい)若(も)しくは自由(じゆう)を奪(うば)は(わ)れ、又(また)はその他(た)の刑罰(けいばつ)を科(か)せられない。

第三十二条 【裁判(さいばん)を受(う)ける権利(けんり)】 何人(なんびと)も、裁判所(さいばんしょ)において裁判(さいばん)を受(う)ける権利(けんり)を奪(うば)は(わ)れない。

第三十三条 【逮捕(たいほ)に対(たい)する保障(ほしょう)】 何人(なんびと)も、現行犯(げんこうはん)として逮捕(たいほ)される場合(ばあい)を除(のぞ)いては、権限(けんげん)を有(ゆう)する司法(しほう)官憲(かんけん)が発(はつ)し、且(か)つ理由(りゆう)となつてゐ(い)る犯罪(はんざい)を明示(めいじ)する令状(れいじょう)によらなければ、逮捕(たいほ)されない。

第三十四条 【抑留(よくりゅう)・拘禁(こうきん)に対(たい)する保障(ほしょう)、拘禁(こうきん)理由(りゆう)の開示(かいじ)】 何人(なんびと)も、理由(りゆう)を直(ただ)ちに告(つ)げられ、且(か)つ、直(ただ)ちに弁護人(べんごにん)に依頼(いらい)する権利(けんり)を与(あた)へ(え)られなければ、抑留(よくりゅう)又(また)は拘禁(こうきん)されない。又(また)、何人(なんびと)も、正当(せいとう)な理由(りゆう)がなければ、拘禁(こうきん)されず、要求(ようきゅう)があれば、その理由(りゆう)は、直(ただ)ちに本人(ほんにん)及(およ)びその弁護人(べんごにん)の出席(しゅつせき)する公開(こうかい)の法廷(ほうてい)で示(しめ)されなければならない。

第三十五条 【住居(じゅうきょ)の侵入(しんにゅう)・書類(しょるい)・所持品(しょじひん)の捜索(そうさく)および押収(おうしゅう)に対(たい)する保障(ほしょう)】 何人(なんびと)も、その住居(じゅうきょ)、書類(しょるい)及(およ)び所持品(しょじひん)について、侵入(しんにゅう)、捜索(そうさく)及(およ)び押収(おうしゅう)を受(う)けることのない権利(けんり)は、第三十三条の場合(ばあい)を除(のぞ)いては、正当(せいとう)な理由(りゆう)に基(もとづ)いて発(はつ)せられ、且(か)つ捜索(そうさく)する場所(ばしょ)及(およ)び押収(おうしゅう)する物(もの)を明示(めいじ)する令状(れいじょう)がなければ、侵(おか)されない。
②  
捜索(そうさく)又(また)は押収(おうしゅう)は、権限(けんげん)を有(ゆう)する司法官憲(しほうかんけん)が発(はつ)する各別(かくべつ)の令状(れいじょう)により、これを行(おこな)ふ(う)。

第三十六条 【拷問(ごうもん)および残虐(ざんぎゃく)な刑罰(けいばつ)の禁止(きんし)】 公務員(こうむいん)による拷問(ごうもん)及(およ)び残虐(ざんぎゃく)な刑罰(けいばつ)は、絶対(ぜつたい)にこれを禁(きん)ずる。

第三十七条 【刑事被告人(けいじひこくにん)の諸権利(しょけんり)】 すべて刑事事件(けいじじけん)においては、被告人(ひこくにん)は、公平(こうへい)な裁判所(さいばんしょ)の迅速(じんそく)な公開裁判(こうかいさいばん)を受(う)ける権利(けんり)を有(ゆう)する。
②  
刑事被告人(けいじひこくにん)は、すべての証人(しょうにん)に対(たい)して審問(しんもん)する機会(きかい)を充分(じゅうぶん)に与(あた)へ(え)られ、又(また)、公費(こうひ)で自己(じこ)のために強制的手続(きょうせいてきてつづき)により証人(しょうにん)を求(もと)める権利(けんり)を有(ゆう)する。
③  
刑事被告人(けいじひこくにん)は、いかなる場合(ばあい)にも、資格(しかく)を有(ゆう)する弁護人(べんごにん)を依頼(いらい)することができる。被告人(ひこくにん)が自(みずか)らこれを依頼(いらい)することができないときは、国(くに)でこれを附(ふ)する。

第三十八条 【供述(きょうじゅつ)の不強要(ふきょうよう)、自白(じはく)の証拠能力(しょうこのうりょく)】 何人(なんびと)も、自己(じこ)に不利益(ふりえき)な供述(きょうじゅつ)を強要(きょうよう)されない。
②  
強制(きょうせい)、拷問(ごうもん)若(も)しくは脅迫(きょうはく)による自白(じはく)又(また)は不当(ふとう)に長(なが)く抑留(よくりゅう)若(も)しくは拘禁(こうきん)された後(のち)の自白(じはく)は、これを証拠(しょうこ)とすることができない。
③  
何人(なんびと)も、自己(じこ)に不利益(ふりえき)な唯一(ゆいいつ)の証拠(しょうこ)が本人(ほんにん)の自白(じはく)である場合(ばあい)には、有罪(ゆうざい)とされ、又(また)は刑罰(けいばつ)を科(か)せられない。

第三十九条 【刑法(けいほう)の不遡及(ふそきゅう)・一事不再理(いちじふさいり)】 何人(なんびと)も、実行(じつこう)の時(とき)に適法(てきほう)であつた行為(こうい)又(また)は既(すで)に無罪(むざい)とされた行為(こうい)については、刑事上(けいじじょう)の責任(せきにん)を問(と)は(わ)れない。又(また)、同一(どういつ)の犯罪(はんざい)について、重(かさ)ねて刑事上(けいじじょう)の責任(せきにん)を問(と)は(わ)れない。

第四十条 【刑事補償(けいじほしょう)】 何人(なんびと)も、抑留(よくりゅう)又(また)は拘禁(こうきん)された後(のち)、無罪(むざい)の裁判(さいばん)を受(う)けたときは、法律(ほうりつ)の定(さだ)めるところにより、国(くに)にその補償(ほしょう)を求(もと)めることができる。


    第四章 国会(こつかい)

第四十一条 【国会(こつかい)の地位(ちい)・立法権(りつぽうけん)】 国会(こつかい)は、国権(こつけん)の最高機関(さいこうきかん)であつて、国(くに)の唯一(ゆいいつ)の立法機関(りつぽうきかん)である。

第四十二条 【国会(こつかい)の両院制(りょういんせい)】 国会(こつかい)は、衆議院(しゅうぎいん)及(およ)び参議院(さんぎいん)の両議院(りょうぎいん)でこれを構成(こうせい)する。

第四十三条 【両議院(りょうぎいん)の組織(そしき)】 両議院(りょうぎいん)は、全国民(ぜんこくみん)を代表(だいひょう)する選挙(せんきょ)された議員(ぎいん)でこれを組織(そしき)する。
②  
両議院(りょうぎいん)の議員(ぎいん)の定数(ていすう)は、法律(ほうりつ)でこれを定(さだ)める。

第四十四条 【議員(ぎいん)および選挙人(せんきょにん)の資格(しかく)】 両議院(りょうぎいん)の議員(ぎいん)及(およ)びその選挙人(せんきょにん)の資格(しかく)は、法律(ほうりつ)でこれを定(さだ)める。但(ただ)し、人種(じんしゅ)、信条(しんじょう)、性別(せいべつ)、社会的身分(しゃかいてきみぶん)、門地(もんち)、教育(きょういく)、財産(ざいさん)又(また)は収入(しゅうにゅう)によつて差別(さべつ)してはならない。

第四十五条 【衆議院議員(しゅうぎいんぎいん)の任期(にんき)】 衆議院議員(しゅうぎいんぎいん)の任期(にんき)は、四年(ねん)とする。但(ただ)し、衆議院解散(しゅうぎいんかいさん)の場合(ばあい)には、その期間満了前(きかんまんりょうまえ)に終了(しゅうりょう)する。

第四十六条 【参議院議員(さんぎいんぎいん)の任期(にんき)】 参議院議員(さんぎいんぎいん)の任期(にんき)は、六年(ねん)とし、三年(ねん)ごとに議員(ぎいん)の半数(はんすう)を改選(かいせん)する。

第四十七条 【選挙(せんきょ)に関(かん)する事項(じこう)の法定(ほうてい)】 選挙区(せんきょく)、投票(とうひょう)の方法(ほうほう)その他(た)両議院(りょうぎいん)の議員(ぎいん)の選挙(せんきょ)に関(かん)する事項(じこう)は、法律(ほうりつ)でこれを定(さだ)める。

第四十八条 【両議院議員(りょうぎいんぎいん)兼職(けんしょく)の禁止(きんし)】 何人(なんびと)も、同時(どうじ)に両議院(りょうぎいん)の議員(ぎいん)たることはできない。

第四十九条 【議員(ぎいん)の歳費(さいひ)】 両議院(りょうぎいん)の議員(ぎいん)は、法律(ほうりつ)の定(さだ)めるところにより、国庫(こつこ)から相当額(そうとうがく)の歳費(さいひ)を受(う)ける。

第五十条 【議員(ぎいん)の不逮捕特権(ふたいほとっけん)】 両議院(りょうぎいん)の議員(ぎいん)は、法律(ほうりつ)の定(さだ)める場合(ばあい)を除(のぞ)いては、国会(こつかい)の会期中(かいきちゅう)逮捕(たいほ)されず、会期前(かいきまえ)に逮捕(たいほ)された議員(ぎいん)は、その議院(ぎいん)の要求(ようきゅう)があれば、会期中(かいきちゅう)これを釈放(しゃくほう)しなければならない。

第五十一条 【議員(ぎいん)の発言(はつげん)・表決(ひょうけつ)の無責任(むせきにん)】 両議院(りょうぎいん)の議員(ぎいん)は、議院(ぎいん)で行(おこな)つた演説(えんぜつ)、討論(とうろん)又(また)は表決(ひょうけつ)について、院外(いんがい)で責任(せきにん)を問(と)は(わ)れない。

第五十二条 【常会(じょうかい)】 国会(こつかい)の常会(じょうかい)は、毎年(まいとし)一回(かい)これを召集(しょうしゅう)する。

第五十三条 【臨時会(りんじかい)】 内閣(ないかく)は、国会(こつかい)の臨時会(りんじかい)の召集(しょうしゅう)を決定(けつてい)することができる。いづれかの議院(ぎいん)の総議員(そうぎいん)の四分(ぶん)の一以上(いじょう)の要求(ようきゅう)があれば、内閣(ないかく)は、その召集(しょうしゅう)を決定(けつてい)しなければならない。

第五十四条 【衆議院(しゅうぎいん)の解散(かいさん)と総選挙(そうせんきょ)、特別会(とくべつかい)および参議院(さんぎいん)の緊急集会(きんきゅうしゅうかい)】 衆議院(しゅうぎいん)が解散(かいさん)されたときは、解散(かいさん)の日(ひ)から四十日(にち)以内(いない)に、衆議院議員(しゅうぎいんぎいん)の総選挙(そうせんきょ)を行(おこな)ひ(い)、その選挙(せんきょ)の日(ひ)から三十日以内(にちいない)に、国会(こつかい)を召集(しょうしゅう)しなければならない。
②  
衆議院(しゅうぎいん)が解散(かいさん)されたときは、参議院(さんぎいん)は、同時(どうじ)に閉会(へいかい)となる。但(ただ)し、内閣(ないかく)は、国(くに)に緊急(きんきゅう)の必要(ひつよう)があるときは、参議院(さんぎいん)の緊急集会(きんきゅうしゅうかい)を求(もと)めることができる。
③  
前項(ぜんこう)但書(ただしがき)の緊急集会(きんきゅうしゅうかい)において採(と)られた措置(そち)は、臨時(りんじ)のものであつて、次(つぎ)の国会開会(こつかいかいかい)の後(のち)十日以内(とうかいない)に、衆議院(しゅうぎいん)の同意(どうい)がない場合(ばあい)には、その効力(こうりょく)を失(うしな)ふ(う)。

第五十五条 【議員(ぎいん)の資格争訟(しかくそうしょう)】 両議院(りょうぎいん)は、各々(おのおの)その議員(ぎいん)の資格(しかく)に関(かん)する争訟(そうしょう)を裁判(さいばん)する。但(ただ)し、議員(ぎいん)の議席(ぎせき)を失(うしな)は(わ)せるには、出席議員(しゅつせきぎいん)の三分(ぶん)の二以上(いじょう)の多数(たすう)による議決(ぎけつ)を必要(ひつよう)とする。

第五十六条 【議員(ぎいん)の定足数(ていそくすう)、表決方法(ひょうけつほうほう)】 両議院(りょうぎいん)は、各々(おのおの)その総議員(そうぎいん)の三分(ぶん)の一以上(いじょう)の出席(しゅつせき)がなければ、議事(ぎじ)を開(ひら)き議決(ぎけつ)することができない。
②  
両議院(りょうぎいん)の議事(ぎじ)は、この憲法(けんぽう)に特別(とくべつ)の定(さだめ)のある場合(ばあい)を除(のぞ)いては、出席議員(しゅつせきぎいん)の過半数(かはんすう)でこれを決(けつ)し、可否同数(かひどうすう)のときは、議長(ぎちょう)の決(けつ)するところによる。

第五十七条【会議(かいぎ)の公開(こうかい)と秘密会(ひみつかい)、会議記録(かいぎきろく)の公開(こうかい)、表決(ひょうけつ)の会議録記載(かいぎろくきさい)】  両議院(りょうぎいん)の会議(かいぎ)は、公開(こうかい)とする。但(ただ)し、出席議員(しゅつせきぎいん)の三分(ぶん)の二以上(いじょう)の多数(たすう)で議決(ぎけつ)したときは、秘密会(ひみつかい)を開(ひら)くことができる。
②  
両議院(りょうぎいん)は、各々(おのおの)その会議(かいぎ)の記録(きろく)を保存(ほぞん)し、秘密会(ひみつかい)の記録(きろく)の中(なか)で特(とく)に秘密(ひみつ)を要(よう)すると認(みと)められるもの以外(いがい)は、これを公表(こうひょう)し、且(か)つ一般(いっぱん)に頒布(はんぷ)しなければならない。
③  
出席議員(しゅつせきぎいん)の五分(ぶん)の一以上(いじょう)の要求(ようきゅう)があれば、各議員(かくぎいん)の表決(ひょうけつ)は、これを会議録(かいぎろく)に記載(きさい)しなければならない。

第五十八条 【議長等(ぎちょうなど)の選任(せんにん)、議院規則(ぎいんきそく)と懲罰(ちょうばつ)】 両議院(りょうぎいん)は、各々(おのおの)その議長(ぎちょう)その他(た)の役員(やくいん)を選任(せんにん)する。
②  
両議院(りょうぎいん)は、各々(おのおの)その会議(かいぎ)その他(た)の手続(てつづき)及(およ)び内部(ないぶ)の規律(きりつ)に関(かん)する規則(きそく)を定(さだ)め、又(また)、院内(いんない)の秩序(ちつじょ)をみだした議員(ぎいん)を懲罰(ちょうばつ)することができる。但(ただ)し、議員(ぎいん)を除名(じょめい)するには、出席議員(しゅつせきぎいん)の三分(ぶん)の二以上(いじょう)の多数(たすう)による議決(ぎけつ)を必要(ひつよう)とする。

第五十九条 【法律案(ほうりつあん)の議決(ぎけつ)、衆議院(しゅうぎいん)の優越(ゆうえつ)】 法律案(ほうりつあん)は、この憲法(けんぽう)に特別(とくべつ)の定(さだめ)のある場合(ばあい)を除(のぞ)いては、両議院(りょうぎいん)で可決(かけつ)したとき法律(ほうりつ)となる。
②  
衆議院(しゅうぎいん)で可決(かけつ)し、参議院(さんぎいん)でこれと異(こと)なつた議決(ぎけつ)をした法律案(ほうりつあん)は、衆議院(しゅうぎいん)で出席議員(しゅつせきぎいん)の三分(ぶん)の二以上(いじょう)の多数(たすう)で再(ふたた)び可決(かけつ)したときは、法律(ほうりつ)となる。
③  
前項(ぜんこう)の規定(きてい)は、法律(ほうりつ)の定(さだ)めるところにより、衆議院(しゅうぎいん)が、両議院(りょうぎいん)の協議会(きょうぎかい)を開(ひら)くことを求(もと)めることを妨(さまた)げない。
④  
参議院(さんぎいん)が、衆議院(しゅうぎいん)の可決(かけつ)した法律案(ほうりつあん)を受(う)け取(と)つた後(のち)、国会休会中(こつかいきゅうかいちゅう)の期間(きかん)を除(のぞ)いて六十日以内(にちいない)に、議決(ぎけつ)しないときは、衆議院(しゅうぎいん)は、参議院(さんぎいん)がその法律案(ほうりつあん)を否決(ひけつ)したものとみなすことができる。

第六十条 【予算(よさん)の衆議院(しゅうぎいん)先議(せんぎ)、衆議院(しゅうぎいん)の優越(ゆうえつ)】 予算(よさん)は、さきに衆議院(しゅうぎいん)に提出(ていしゅつ)しなければならない。
②  
予算(よさん)について、参議院(さんぎいん)で衆議院(しゅうぎいん)と異(こと)なつた議決(ぎけつ)をした場合(ばあい)に、法律(ほうりつ)の定(さだ)めるところにより、両議院(りょうぎいん)の協議会(きょうぎかい)を開(ひら)いても意見(いけん)が一致(いっち)しないとき、又(また)は参議院(さんぎいん)が、衆議院(しゅうぎいん)の可決(かけつ)した予算(よさん)を受(う)け取(と)つた後(のち)、国会休会中(こつかいきゅうかいちゅう)の期間(きかん)を除(のぞ)いて三十日以内(にちいない)に、議決(ぎけつ)しないときは、衆議院(しゅうぎいん)の議決(ぎけつ)を国会(こつかい)の議決(ぎけつ)とする。

第六十一条 【条約(じょうやく)の国会(こつかい)承認(しょうにん)と衆議院(しゅうぎいん)の優越(ゆうえつ)】 条約(じょうやく)の締結(ていけつ)に必要(ひつよう)な国会(こつかい)の承認(しょうにん)については、前条(ぜんじょう)第二項の規定(きてい)を準用(じゅんよう)する。

第六十二条 【議院(ぎいん)の国政調査権(こくせいちょうさけん)】 両議院(りょうぎいん)は、各々(おのおの)国政(こくせい)に関(かん)する調査(ちょうさ)を行(おこな)ひ(い)、これに関(かん)して、証人(しょうにん)の出頭(しゅつとう)及(およ)び証言(しょうげん)並(なら)びに記録(きろく)の提出(ていしゅつ)を要求(ようきゅう)することができる。

第六十三条 【国務大臣(こくむだいじん)の議院(ぎいん)出席(しゅつせき)の権利(けんり)と義務(ぎむ)】 内閣総理大臣(ないかくそうりだいじん)その他(た)の国務大臣(こくむだいじん)は、両議院(りょうぎいん)の一に議席(ぎせき)を有(ゆう)すると有(ゆう)しないとにかかはらず、何時(いつ)でも議案(ぎあん)について発言(はつげん)するため議院(ぎいん)に出席(しゅつせき)することができる。又(また)、答弁(とうべん)又(また)は説明(せつめい)のため出席(しゅつせき)を求(もと)められたときは、出席(しゅつせき)しなければならない。

第六十四条 【弾劾裁判所(だんがいさいばんしょ)】 国会(こつかい)は、罷免(ひめん)の訴追(そつい)を受(う)けた裁判官(さいばんかん)を裁判(さいばん)するため、両議院(りょうぎいん)の議員(ぎいん)で組織(そしき)する弾劾裁判所(だんがいさいばんしょ)を設(もう)ける。
②  
弾劾(だんがい)に関(かん)する事項(じこう)は、法律(ほうりつ)でこれを定(さだ)める。


  第五章 内閣(ないかく)

第六十五条 【行政権(ぎょうせいけん)と内閣(ないかく)】 行政権(ぎょうせいけん)は、内閣(ないかく)に属(ぞく)する。

第六十六条 【内閣(ないかく)の組織(そしき)、国務大臣(こくむだいじん)の資格(しかく)、連帯責任(れんたいせきにん)】 内閣(ないかく)は、法律(ほうりつ)の定(さだ)めるところにより、その首長(しゅちょう)たる内閣総理大臣(ないかくそうりだいじん)及(およ)びその他(た)の国務大臣(こくむだいじん)でこれを組織(そしき)する。
②  
内閣総理大臣(ないかくそうりだいじん)その他(た)の国務大臣(こくむだいじん)は、文民(ぶんみん)でなければならない。
③  
内閣(ないかく)は、行政権(ぎょうせいけん)の行使(こうし)について、国会(こつかい)に対(たい)し連帯(れんたい)して責任(せきにん)を負(お)ふ(う)。

第六十七条 【国会(こつかい)の内閣総理大臣(ないかくそうりだいじん)の指名(しめい)、衆議院(しゅうぎいん)の優越(ゆうえつ)】 内閣総理大臣(ないかくそうりだいじん)は、国会議員(こつかいぎいん)の中(なか)から国会(こつかい)の議決(ぎけつ)で、これを指名(しめい)する。この指名(しめい)は、他(ほか)のすべての案件(あんけん)に先(さき)だつて、これを行(おこな)ふ(う)。
②  
衆議院(しゅうぎいん)と参議院(さんぎいん)とが異(こと)なつた指名(しめい)の議決(ぎけつ)をした場合(ばあい)に、法律(ほうりつ)の定(さだ)めるところにより、両議院(りょうぎいん)の協議会(きょうぎかい)を開(ひら)いても意見(いけん)が一致(いっち)しないとき、又(また)は衆議院(しゅうぎいん)が指名(しめい)の議決(ぎけつ)をした後(のち)、国会休会中(こつかいきゅうかいちゅう)の期間(きかん)を除(のぞ)いて十日以内(とおかいない)に、参議院(さんぎいん)が、指名(しめい)の議決(ぎけつ)をしないときは、衆議院(しゅうぎいん)の議決(ぎけつ)を国会(こつかい)の議決(ぎけつ)とする。

第六十八条 【国務大臣(こくむだいじん)の任命(にんめい)、罷免(ひめん)】 内閣総理大臣(ないかくそうりだいじん)は、国務大臣(こくむだいじん)を任命(にんめい)する。但(ただ)し、その過半数(かはんすう)は、国会議員(こつかいぎいん)の中(なか)から選(えら)ばれなければならない。
②  
内閣総理大臣(ないかくそうりだいじん)は、任意(にんい)に国務大臣(こくむだいじん)を罷免(ひめん)することができる。

第六十九条 【衆議院(しゅうぎいん)の内閣不信任(ないかくふしんにん)と解散(かいさん)または総辞職(そうじしょく)】 内閣(ないかく)は、衆議院(しゅうぎいん)で不信任(ふしんにん)の決議案(けつぎあん)を可決(かけつ)し、又(また)は信任(しんにん)の決議案(けつぎあん)を否決(ひけつ)したときは、十日(とおか)以内(いない)に衆議院(しゅうぎいん)が解散(かいさん)されない限(かぎ)り、総辞職(そうじしょく)をしなければならない。

第七十条 【内閣総理大臣(ないかくそうりだいじん)の欠缺(けんけつ)または総選挙(そうせんきょ)後(ご)の国会召集(こつかいしょうしゅう)と内閣総辞職(ないかくそうじしょく)】 内閣総理大臣(ないかくそうりだいじん)が欠(か)けたとき、又(また)は衆議院議員総選挙(しゅうぎいんぎいんそうせんきょ)の後(のち)に初(はじ)めて国会(こつかい)の召集(しょうしゅう)があつたときは、内閣(ないかく)は、総辞職(そうじしょく)をしなければならない。

第七十一条 【総辞職(そうじしょく)後(ご)の内閣(ないかく)の職務執行(しょくむしっこう)】 前(ぜん)二条(じょう)の場合(ばあい)には、内閣(ないかく)は、あらたに内閣総理大臣(ないかくそうりだいじん)が任命(にんめい)されるまで引(ひ)き続(つづ)きその職務(しょくむ)を行(おこな)ふ(う)。

第七十二条 【内閣総理大臣(ないかくそうりだいじん)の職務(しょくむ)】 内閣総理大臣(ないかくそうりだいじん)は、内閣(ないかく)を代表(だいひょう)して議案(ぎあん)を国会(こつかい)に提出(ていしゅつ)し、一般(いっぱん)国務(こくむ)及(およ)び外交関係(がいこうかんけい)について国会(こつかい)に報告(ほうこく)し、並(なら)びに行政(ぎょうせい)各部(かくぶ)を指揮(しき)監督(かんとく)する。

第七十三条 【内閣(ないかく)の職務権限(しょくむけんげん)】 内閣(ないかく)は、他(た)の一般(いっぱん)行政(ぎょうせい)事務(じむ)の外(ほか)、左(さ)の事務(じむ)を行(おこな)ふ(う)。
一  
法律(ほうりつ)を誠実(せいじつ)に執行(しっこう)し、国務(こくむ)を総理(そうり)すること。
二  
外交(がいこう)関係(かんけい)を処理(しょり)すること。
三  
条約(じょうやく)を締結(ていけつ)すること。但(ただ)し、事前(じぜん)に、時宜(じぎ)によつては事後(じご)に、国会(こつかい)の承認(しょうにん)を経(へ)ることを必要(ひつよう)とする。
四  
法律(ほうりつ)の定(さだ)める基準(きじゅん)に従(したが)ひ(い)、官吏(かんり)に関(かん)する事務(じむ)を掌理(しょうり)すること。
五  
予算(よさん)を作成(さくせい)して国会(こつかい)に提出(ていしゅつ)すること。
六  この
憲法(けんぽう)及(およ)び法律(ほうりつ)の規定(きてい)を実施(じっし)するために、政令(せいれい)を制定(せいてい)すること。但(ただ)し、政令(せいれい)には、特(とく)にその法律(ほうりつ)の委任(いにん)がある場合(ばあい)を除(のぞ)いては、罰則(ばっそく)を設(もう)けることができない。
七  
大赦(たいしゃ)、特赦(とくしゃ)、減刑(げんけい)、刑(けい)の執行(しっこう)の免除(めんじょ)及(およ)び復権(ふっけん)を決定(けってい)すること。

第七十四条 【法律(ほうりつ)および政令(せいれい)の署名(しょめい)・連署(れんしょ)】 法律(ほうりつ)及(およ)び政令(せいれい)には、すべて主任(しゅにん)の国務大臣(こくむだいじん)が署名(しょめい)し、内閣総理大臣(ないかくそうりだいじん)が連署(れんしょ)することを必要(ひつよう)とする。

第七十五条 【国務大臣(こくむだいじん)の訴追(そつい)】 国務大臣(こくむだいじん)は、その在任中(ざいにんちゅう)、内閣総理大臣(ないかくそうりだいじん)の同意(どうい)がなければ、訴追(そつい)されない。但(ただ)し、これがため、訴追(そつい)の権利(けんり)は、害(がい)されない。


   第六章 司法(しほう)

第七十六条 【司法権(しほうけん)と裁判所(さいばんしょ)、特別裁判所(とくべつさいばんしょ)の禁止(きんし)と行政機関(ぎょうせいきかん)の終審的裁判(しゅうしんてきさいばん)の禁止(きんし)、裁判官(さいばんかん)の独立(どくりつ)】 すべて司法権(しほうけん)は、最高裁判所(さいこうさいばんしょ)及(およ)び法律(ほうりつ)の定(さだ)めるところにより設置(せっち)する下級裁判所(かきゅうさいばんしょ)に属(ぞく)する。
②  
特別裁判所(とくべつさいばんしょ)は、これを設置(せっち)することができない。行政機関(ぎょうせいきかん)は、終審(しゅうしん)として裁判(さいばん)を行(おこな)ふ(う)ことができない。
③  すべて
裁判官(さいばんかん)は、その良心(りょうしん)に従(したが)ひ(い)独立(どくりつ)してその職権(しょくけん)を行(おこな)ひ(い)、この憲法(けんぽう)及(およ)び法律(ほうりつ)にのみ拘束(こうそく)される。

第七十七条 【最高裁判所(さいこうさいばんしょ)の規則制定権(きそくせいていけん)】 最高裁判所(さいこうさいばんしょ)は、訴訟(そしょう)に関(かん)する手続(てつづき)、弁護士(べんごし)、裁判所(さいばんしょ)の内部(ないぶ)規律(きりつ)及(およ)び司法(しほう)事務処理(じむしょり)に関(かん)する事項(じこう)について、規則(きそく)を定(さだ)める権限(けんげん)を有(ゆう)する。
②  
検察官(けんさつかん)は、最高裁判所(さいこうさいばんしょ)の定(さだ)める規則(きそく)に従(したが)は(わ)なければならない。
③  
最高裁判所(さいこうさいばんしょ)は、下級裁判所(かきゅうさいばんしょ)に関(かん)する規則(きそく)を定(さだ)める権限(けんげん)を、下級裁判所(かきゅうさいばんしょ)に委任(いにん)することができる。

第七十八条 【裁判官(さいばんかん)の身分保障(みぶんほしょう)】 裁判官(さいばんかん)は、裁判(さいばん)により、心身(しんしん)の故障(こしょう)のために職務(しょくむ)を執(と)ることができないと決定(けってい)された場合(ばあい)を除(のぞ)いては、公(おおやけ)の弾劾(だんがい)によらなければ罷免(ひめん)されない。裁判官(さいばんかん)の懲戒(ちょうかい)処分(しょぶん)は、行政機関(ぎょうせいきかん)がこれを行(おこな)ふ(う)ことはできない。

第七十九条 【最高裁判所(さいこうさいばんしょ)の構成(こうせい)、国民審査(こくみんしんさ)、定年(ていねん)、報酬(ほうしゅう)】 最高裁判所(さいこうさいばんしょ)は、その長(ちょう)たる裁判官(さいばんかん)及(およ)び法律(ほうりつ)の定(さだ)める員数(いんずう)のその他(た)の裁判官(さいばんかん)でこれを構成(こうせい)し、その長(ちょう)たる裁判官(さいばんかん)以外(いがい)の裁判官(さいばんかん)は、内閣(ないかく)でこれを任命(にんめい)する。
②  
最高裁判所(さいこうさいばんしょ)の裁判官(さいばんかん)の任命(にんめい)は、その任命後(にんめいご)初(はじ)めて行(おこな)は(わ)れる衆議院議員(しゅうぎいんぎいん)総選挙(そうせんきょ)の際(さい)国民(こくみん)の審査(しんさ)に付(ふ)し、その後(のち)十年(じゅうねん)を経過(けいか)した後(のち)初(はじ)めて行(おこな)は(わ)れる衆議院議員(しゅうぎいんぎいん)総選挙(そうせんきょ)の際(さい)更(さら)に審査(しんさ)に付(ふ)し、その後(ご)も同様(どうよう)とする。
③  
前項(ぜんこう)の場合(ばあい)において、投票者(とうひょうしゃ)の多数(たすう)が裁判官(さいばんかん)の罷免(ひめん)を可(か)とするときは、その裁判官(さいばんかん)は、罷免(ひめん)される。
④  
審査(しんさ)に関(かん)する事項(じこう)は、法律(ほうりつ)でこれを定(さだ)める。

第八十条 【下級(かきゅう)裁判所(さいばんしょ)の裁判官(さいばんかん)任命(にんめい)・任期(にんき)・定年(ていねん)・報酬(ほうしゅう)】 下級裁判所(かきゅうさいばんしょ)の裁判官(さいばんかん)は、最高裁判所(さいこうさいばんしょ)の指名(しめい)した者(もの)の名簿(めいぼ)によつて、内閣(ないかく)でこれを任命(にんめい)する。その裁判官(さいばんかん)は、任期(にんき)を十年(じゅうねん)とし、再任(さいにん)されることができる。但(ただ)し、法律(ほうりつ)の定(さだ)める年齢(ねんれい)に達(たつ)した時(とき)には退官(たいかん)する。
②  
下級裁判所(かきゅうさいばんしょ)の裁判官(さいばんかん)は、すべて定期(ていき)に相当額(そうとうがく)の報酬(ほうしゅう)を受(う)ける。この報酬(ほうしゅう)は、在任中(ざいにんちゅう)、これを減額(げんがく)することができない。

第八十一条 【最高裁判所(さいこうさいばんしょ)の合憲性審査権(ごうけんせいしんさけん)】 最高裁判所(さいこうさいばんしょ)は、一切(いっさい)の法律(ほうりつ)、命令(めいれい)、規則(きそく)又(また)は処分(しょぶん)が憲法(けんぽう)に適合(てきごう)するかしないかを決定(けってい)する権限(けんげん)を有(ゆう)する終審(しゅうしん)裁判所(さいばんしょ)である。

第八十二条 【裁判(さいばん)の公開(こうかい)】 裁判(さいばん)の対審(たいしん)及(およ)び判決(はんけつ)は、公開法廷(こうかいほうてい)でこれを行(おこな)ふ(う)。
②  
裁判所(さいばんしょ)が、裁判官(さいばんかん)の全員一致(ぜんいんいっち)で、公(おおやけ)の秩序(ちつじょ)又(また)は善良(ぜんりょう)の風俗(ふうぞく)を害(がい)する虞(おそれ)があると決(けつ)した場合(ばあい)には、対審(たいしん)は、公開(こうかい)しないでこれを行(おこな)ふ(う)ことができる。但(ただ)し、政治犯罪(せいじはんざい)、出版(しゅつぱん)に関(かん)する犯罪(はんざい)又(また)はこの憲法(けんぽう)第三章(だいさんしょう)で保障(ほしょう)する国民(こくみん)の権利(けんり)が問題(もんだい)となつてゐ(い)る事件(じけん)の対審(たいしん)は、常(つね)にこれを公開(こうかい)しなければならない。


   第七章 財政(ざいせい)

第八十三条 【財政処理(ざいせいしょり)と国会(こつかい)の議決(ぎけつ)】 国(くに)の財政(ざいせい)を処理(しょり)する権限(けんげん)は、国会(こつかい)の議決(ぎけつ)に基(もとづ)いて、これを行使(こうし)しなければならない。

第八十四条 【租税(そぜい)法定(ほうてい)主義(しゅぎ)】 あらたに租税(そぜい)を課(か)し、又(また)は現行(げんこう)の租税(そぜい)を変更(へんこう)するには、法律(ほうりつ)又(また)は法律(ほうりつ)の定(さだ)める条件(じょうけん)によることを必要(ひつよう)とする。

第八十五条 【国費(こくひ)支出(ししゅつ)および債務(さいむ)負担(ふたん)と国会(こつかい)の議決(ぎけつ)】 国費(こくひ)を支出(ししゅつ)し、又(また)は国(くに)が債務(さいむ)を負担(ふたん)するには、国会(こつかい)の議決(ぎけつ)に基(もとづ)くことを必要(ひつよう)とする。

第八十六条 【予算(よさん)の作成(さくせい)および国会(こつかい)の議決(ぎけつ)】 内閣(ないかく)は、毎(まい)会計(かいけい)年度(ねんど)の予算(よさん)を作成(さくせい)し、国会(こつかい)に提出(ていしゅつ)して、その審議(しんぎ)を受(う)け議決(ぎけつ)を経(へ)なければならない。

第八十七条 【予備費(よびひ)】 予見(よけん)し難(がた)い予算(よさん)の不足(ふそく)に充(あ)てるため、国会(こつかい)の議決(ぎけつ)に基(もとづ)いて予備費(よびひ)を設(もう)け、内閣(ないかく)の責任(せきにん)でこれを支出(ししゅつ)することができる。
②  すべて
予備費(よびひ)の支出(ししゅつ)については、内閣(ないかく)は、事後(じご)に国会(こつかい)の承諾(しょうだく)を得(え)なければならない。

第八十八条 【皇室財産(こうしつざいさん)・皇室費用(こうしつひよう)】 すべて皇室財産(こうしつざいさん)は、国(くに)に属(ぞく)する。すべて皇室(こうしつ)の費用(ひよう)は、予算(よさん)に計上(けいじょう)して国会(こつかい)の議決(ぎけつ)を経(へ)なければならない。

第八十九条 【公(おおやけ)の財産(ざいさん)の支出(ししゅつ)または利用(りよう)の制限(せいげん)】 公金(こうきん)その他(た)の公(おおやけ)の財産(ざいさん)は、宗教上(しゅうきょうじょう)の組織(そしき)若(も)しくは団体(だんたい)の使用(しよう)、便益(べんえき)若(も)しくは維持(いじ)のため、又(また)は公(おおやけ)の支配(しはい)に属(ぞく)しない慈善(じぜん)、教育(きょういく)若(も)しくは博愛(はくあい)の事業(じぎょう)に対(たい)し、これを支出(ししゅつ)し、又(また)はその利用(りよう)に供(きょう)してはならない。

第九十条 【決算(けっさん)、会計検査院(かいけいけんさいん)】 国(くに)の収入(しゅうにゅう)支出(ししゅつ)の決算(けっさん)は、すべて毎年(まいねん)会計(かいけい)検査(けんさ)院(いん)がこれを検査(けんさ)し、内閣(ないかく)は、次(つぎ)の年度(ねんど)に、その検査(けんさ)報告(ほうこく)とともに、これを国会(こつかい)に提出(ていしゅつ)しなければならない。
②  
会計(かいけい)検査(けんさ)院(いん)の組織(そしき)及(およ)び権限(けんげん)は、法律(ほうりつ)でこれを定(さだ)める。

第九十一条 【内閣(ないかく)の財政(ざいせい)状況(じょうきょう)報告(ほうこく)】 内閣(ないかく)は、国会(こつかい)及(およ)び国民(こくみん)に対(たい)し、定期(ていき)に、少(すくな)くとも毎年(まいねん)一回、国(くに)の財政状況(ざいせいじょうきょう)について報告(ほうこく)しなければならない。


   第八章 地方自治(ちほうじち)

第九十二条 【地方自治(ちほうじち)の基本原則(きほんげんそく)】 
地方公共団体(ちほうこうきょうだんたい)の組織(そしき)及(およ)び運営(うんえい)に関(かん)する事項(じこう)は、地方自治(ちほうじち)の本旨(ほんし)に基(もとづ)いて、法律(ほうりつ)でこれを定(さだ)める。

第九十三条 【地方公共団体(ちほうこうきょうだんたい)の議会(ぎかい)、長(ちょう)・議員(ぎいん)等(とう)の直接選挙(ちょくせつせんきょ)】 
地方公共団体(ちほうこうきょうだんたい)には、法律(ほうりつ)の定(さだ)めるところにより、その議事(ぎじ)機関(きかん)として議会(ぎかい)を設置(せつち)する。
②  
地方公共団体(ちほうこうきょうだんたい)の長(ちょう)、その議会(ぎかい)の議員(ぎいん)及(およ)び法律(ほうりつ)の定(さだ)めるその他(た)の吏員(りいん)は、その地方公共団体(ちほうこうきょうだんたい)の住民(じゅうみん)が、直接(ちょくせつ)これを選挙(せんきょ)する。

第九十四条 【地方公共団体(ちほうこうきょうだんたい)の権能(けんのう)・条例(じょうれい)制定権(せいていけん)】 
地方公共団体(ちほうこうきょうだんたい)は、その財産(ざいさん)を管理(かんり)し、事務(じむ)を処理(しょり)し、及(およ)び行政(ぎょうせい)を執行(しっこう)する権能(けんのう)を有(ゆう)し、法律(ほうりつ)の範囲内(はんいない)で条例(じょうれい)を制定(せいてい)することができる。

第九十五条 【特別法(とくべつほう)と住民投票(じゅうみんとうひょう)】 
一(いち)の地方公共団体(ちほうこうきょうだんたい)のみに適用(てきよう)される特別法(とくべつほう)は、法律(ほうりつ)の定(さだ)めるところにより、その地方公共団体(ちほうこうきょうだんたい)の住民(じゅうみん)の投票(とうひょう)においてその過半数(かはんすう)の同意(どうい)を得(え)なければ、国会(こつかい)は、これを制定(せいてい)することができない。


   第九章 改正(かいせい)

第九十六条 【憲法改正(けんぽうかいせい)の手続(てつづき)、公布(こうふ)】 この
憲法(けんぽう)の改正(かいせい)は、各(かく)議院(ぎいん)の総議員(そうぎいん)の三分の二以上(いじょう)の賛成(さんせい)で、国会(こつかい)が、これを発議(はつぎ)し、国民(こくみん)に提案(ていあん)してその承認(しょうにん)を経(へ)なければならない。この承認(しょうにん)には、特別(とくべつ)の国民投票(こくみんとうひょう)又(また)は国会(こつかい)の定(さだ)める選挙(せんきょ)の際(さい)行(おこな)は(わ)れる投票(とうひょう)において、その過半数(かはんすう)の賛成(さんせい)を必要(ひつよう)とする。
②  
憲法改正(けんぽうかいせい)について前項(ぜんこう)の承認(しょうにん)を経(へ)たときは、天皇(てんのう)は、国民(こくみん)の名(な)で、この憲法(けんぽう)と一体(いったい)を成(な)すものとして、直(ただ)ちにこれを公布(こうふ)する。


   第十章 最高法規(さいこうほうき)

第九十七条 【基本的人権(きほんてきじんけん)の本質(ほんしつ)】 この
憲法(けんぽう)が日本国民(にほんこくみん)に保障(ほしょう)する基本的人権(きほんてきじんけん)は、人類(じんるい)の多年(たねん)にわたる自由獲得(じゆうかくとく)の努力(どりょく)の成果(せいか)であつて、これらの権利(けんり)は、過去(かこ)幾多(いくた)の試錬(しれん)に堪(た)へ(え)、現在(げんざい)及(およ)び将来(しょうらい)の国民(こくみん)に対(たい)し、侵(おか)すことのできない永久(えいきゅう)の権利(けんり)として信託(しんたく)されたものである。

第九十八条 【憲法(けんぽう)の最高法規性(さいこうほうきせい)、条約(じょうやく)および国際法規(こくさいほうき)の遵守(じゅんしゅ)】 この
憲法(けんぽう)は、国(くに)の最高法規(さいこうほうき)であつて、その条規(じょうき)に反(はん)する法律(ほうりつ)、命令(めいれい)、詔勅(しょうちょく)及(およ)び国務(こくむ)に関(かん)するその他(た)の行為(こうい)の全部(ぜんぶ)又(また)は一部(いちぶ)は、その効力(こうりょく)を有(ゆう)しない。
②  
日本国(にほんこく)が締結(ていけつ)した条約(じょうやく)及(およ)び確立(かくりつ)された国際法規(こくさいほうき)は、これを誠実(せいじつ)に遵守(じゅんしゅ)することを必要(ひつよう)とする。

第九十九条 【憲法(けんぽう)尊重(そんちょう)・擁護(ようご)の義務(ぎむ)】 
天皇(てんのう)又(また)は摂政(せっしょう)及(およ)び国務大臣(こくむだいじん)、国会議員(こつかい)、裁判官(さいばんかん)その他(た)の公務員(こうむいん)は、この憲法(けんぽう)を尊重(そんちょう)し擁護(ようご)する義務(ぎむ)を負(お)ふ(う)。


   第十一章 補則(ほそく)

第百条 【施行(しこう)期日(きじつ)、施行(しこう)の準備(じゅんび)】 この
憲法(けんぽう)は、公布(こうふ)の日(ひ)から起算(きさん)して六箇月(かげつ)を経過(けいか)した日(ひ)から、これを施行(しこう)する。
②  この
憲法(けんぽう)を施行(しこう)するために必要(ひつよう)な法律(ほうりつ)の制定(せいてい)、参議院議員(さんぎいんぎいん)の選挙(せんきょ)及(およ)び国会(こつかい)召集(しょうしゅう)の手続(てつづき)並(なら)びにこの憲法(けんぽう)を施行(しこう)するために必要(ひつよう)な準備(じゅんび)手続(てつづき)は、前項(ぜんこう)の期日(きじつ)よりも前(まえ)に、これを行(おこな)ふ(う)ことができる。

第百一条 【経過規定(けいかきてい)-参議院(さんぎいん)未成立(みせいりつ)の間(あいだ)の国会(こつかい)】 この
憲法(けんぽう)施行(しこう)の際(さい)、参議院(さんぎいん)がまだ成立(せいりつ)してゐ(い)ないときは、その成立(せいりつ)するまでの間(あいだ)、衆議院(しゅうぎいん)は、国会(こつかい)としての権限(けんげん)を行(おこな)ふ(う)。

第百二条 【経過規定(けいかきてい)-第一期(だいいっき)参議院議員(さんぎいんぎいん)の任期(にんき)】 この
憲法(けんぽう)による第一期(だいいっき)の参議院議員(さんぎいんぎいん)のうち、その半数(はんすう)の者(もの)の任期(にんき)は、これを三年(さんねん)とする。その議員(ぎいん)は、法律(ほうりつ)の定(さだ)めるところにより、これを定(さだ)める。

第百三条 【経過規定(けいかきてい)-憲法(けんぽう)施行(しこう)の際(さい)の公務員(こうむいん)】 この
憲法(けんぽう)施行(しこう)の際(さい)現(げん)に在職(ざいしょく)する国務大臣(こくむだいじん)、衆議院議員(しゅうぎいんぎいん)及(およ)び裁判官(さいばんかん)並(なら)びにその他(た)の公務員(こうむいん)で、その地位(ちい)に相応(そうおう)する地位(ちい)がこの憲法(けんぽう)で認(みと)められてゐ(い)る者(もの)は、法律(ほうりつ)で特別(とくべつ)の定(さだめ)をした場合(ばあい)を除(のぞ)いては、この憲法(けんぽう)施行(しこう)のため、当然(とうぜん)にはその地位(ちい)を失(うしな)ふ(う)ことはない。但(ただ)し、この憲法(けんぽう)によつて、後任者(こうにんしゃ)が選挙(せんきょ)又(また)は任命(にんめい)されたときは、当然(とうぜん)その地位(ちい)を失(うしな)ふ(う)。